schmerzhaft

苦しいから考えることをやめたい
考える事が出来なければどれ程楽か想像してみる
でも考えなければ前に進めず僕は変われない

毎日が決められた予定通りで
誰にも気をつかうことがなくて
誰にもすみませんと思わずに
誰にも殺してやると思われずに
誰にも助けてやろうと思われずに

悲しいとか苦しいの類の感情を
全て捨てて生きていけたらどんなに良いだろうと想像してみる
でもそれじゃ人間じゃない

足跡

歩いても歩いても辿り着けず
叫んでもわめいてもだれにも響かない声
行き着かないのは重く走れないから
届かないのは胸が潰れて声がでないから
あの日から大きな刃物が僕の一部になっていた
等身大の杭が背中から胸へかけて刺さったままだった
刺さる始終を黙って見ていた僕
そうしないと耐えられなかった
自分を守れなかった
気がふれない為に杭が必要だった
だから何も考えずに刺した
刺すしかなかった
幼い僕にはそれしか判らなかった
何をしてもいても彼はずっと一緒
歩くたびに血の足跡が残る

無題

憎しみが僕を殺すのか
憎しみが僕を生かすのか

記憶に蓋は出来ない
押さえつけても
後からあとからあふれ出して止まらない

辛い苦しい苦しい虚しい悲しい
悲しい

誘眠

感覚が感覚でなくなり
指先から分子レベルで細胞が溶けていく
身体が体でなくなり
心が融けて行く

血液がゆっくりと流れだす
とても気持ちがいい
とても　とても
そして凄く　眠い

もうずっと眠っていて良いんだよと
誰かの声が聞こえる
ずっと遠くで

深い眠りに/in tiefen schlaf fallen

落ちる、墜ちる、墜ちて行く
何処までも落下して行く体
何処までも落下して止まらない苦しさの世界
僕はもがいていた、少しでも上に上がりたかったから
脱力した四肢を、スローモーションの様に動かしている
何処まで落ちるのだろう
いつか、底に叩きつけられる事を考えて笑う
僕は粉々になってしまうのだろうか
やわらかい精神は、ガラスの破片の様に粉砕しないだろう
あちこちが奇妙に変形して
少しずつ、心が壊死していくのだろうか
落下する風に感情の砂を舞い散らしながら
淋しい闇に、ゆっくりと包まれて行く